忘れたいことはきっと誰も忘れてくれない。

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 今日は、タクヤのお誕生日会。みんな集まり、お祝いする。ぼくは、ケーキをタクヤの前に持っていくんだ。  タクヤはプレゼントで満面の笑み。ぼくは、時間になって、お母さんに呼ばれる。持っていくケーキを準備する。うん、できた。  いよいよ、ぼくはドアの前へ。どきどき、どきどき。お母さんがドアをあける。ドッと駆け出す。でも、前は絨毯。  腕に衝撃、体に痛み、目の前真っ白、顔が甘い。ぼくはケーキに顔をうずめて、泣き顔だ。みんなが笑い、タクヤも笑う。カメラが光り、ぼくは泣き出す。  「そうそう、これだよ」 そういって、タクヤが見せたのは、床にぶちまけられたケーキとその生クリームに顔をうずめた僕の姿だった。 「ほんと、あのときはわらっちまったよ」 と、タクヤはケラケラ笑う。僕は話題を逸らそうと別の話を振る。 「あの時、どんなプレゼントもらったんだ?」 そう聞くと、タクヤは少し考えて、 「ん?なんだっけ?」 ホントにどうでもいいことだけ忘れないものだ。僕はタクヤの机の上の目覚まし時計を見た。それは、僕がプレゼントした日から今もそこにあった。    
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