蒼い。

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 ひ孫は大笑いです。  あん時、わたしは大変いらいらしとって、そんいらいらのままあんたに投げつけました。 背中の真ん中に当たったあんたはびっくりしとって、当てたわたしもびっくりしました。 そいから──あんたはわたしの靴ば拾って、やっとで近づいてくれました。 恥ずかしそうに俯いとって、見える肌色のどこもかしこも真っ赤でした。 「──かーわい」 「どこがね」 「照れとる男子とか可愛いやん」 「ひぃ婆は好かんやった」 「なんでぇ?」  遠き、若い頃のわたしはしっかりしとる男が好きでした。 だからわたしはあんたに言いました。 言いたか事のあるない、しっかり言うてくださいと。 そしたらあんたは背筋を伸ばして、わたしに伝えてくれました。 「あ、かっこよかった」
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