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第七話 <後夜祭>
「将生、お前は一体何に巻き込まれてるの?」
呆れ顔の香月さんが、来てくれました。そうですよね、僕も流されやすくてお手軽だと思います。
「将生は連れて帰るからね」
香月さんが、そう柾木さんに声をかました。ジェフに乗っかられて動けない柾木さんが驚いた顔をしました。
「えーっ!将生、待ってよ。香月さんとジェフ交換して!」
翔太さん、何を物々交換しようとしていますか?無理ですよね。
「香月さん、ありがとうございます。本当にいつもごめんなさい」
「ところで将生、何故また女装していたのかな」
「えと、あの……もうすぐ大学の学園祭でですね。メイドカフェのお手伝いを頼まれました」
「駄目だから」
「えっ?」
「将生は俺のものでしょう。俺以外に可愛い笑顔振りまくのは禁止だから」
えっ、そうなのですか?じゃあ喜んで止めます。嬉しいって思う僕はもう完全にアウトですよね。
「あの学祭、良かったら一緒に来てくれませんか?」
以前、香月さんが大学を見てみたいと言っていた気がします。
「本当?誘ってくれて嬉しいな、もちろん行くよ」
「あの、後夜祭で花火が上がるんです。二人で一緒に見たい……です」
嬉しくて、恥ずかしくなって赤くなってしまいました。
「もちろん、楽しみにしてるよ」
そう言って香月さんはぎゅっと僕の手を握ってくれました。お母さん!あなたの息子は、たった今男性に告白しました。ごめんなさい。
……でもきっと僕の幸せが一番なのですよね。
[学園祭 おしまい]
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