デビュー作(四文字漢字)

1/11
1018人が本棚に入れています
本棚に追加
/198ページ

デビュー作(四文字漢字)

第一話 <健康診断>  「さむっ!」  この寒さの中じゃ体を丸めて歩くのは仕方ないでしょう?  「ねえ、なんだか前のめりっていうか……猫背じゃない?目が悪くて板書見づらいのなら座席前の方にしたら?」そう言われました。あれは間違いなく、僕の隣に座るのが嫌だったのですよね。分かっています、どうせお呼びではないことは。  この前の合コンも数合わせに呼ばれただけでした。相変わらず僕の人生は安定のハズレくじ。いつもの事です、慣れています。  アルバイト先と大学を往復するだけの日々、唯一の楽しみは「綺麗な女性が突然現れて僕の手をとり告白してくれる」そんな妄想に浸ること。そのくらい許して欲しい、頭の中は自由でしょう。  「あ、斎藤君。この前言ってた健康診断な、明日の朝8時半に駅前。診療所のバンが迎えに来るから。小さな診療所だけどドクターが綺麗な人だから。楽しんで来いよ」     
/198ページ

最初のコメントを投稿しよう!