第十三作(調味料)

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第二話 <生クリーム>    「将生は、今までの子とは違うから無理だからな」  「へえ、ユズにそこまで言わせるのか。ふぅん君がね……そうか面白いな。ねえ将生君、俺と付き合ってみない?」  「ええっ?」  突然です、やはり突然です。ご兄弟なんですね。痛感しました。  「駄目だっていったろ、将生は俺ともう付き合っているんだからな」  え?そうでしたか?同棲だと言ってはいましたけど、僕達は交際してますというくだりが無かったような気がします。ありましたか?あまりにいろいろなことが次々と起こるので記憶さえ曖昧です。オミさんは香月さんの話を無視してこちらを見て微笑んでいます。やっぱり都合の悪い事は聞こえないのですね。  「あのね将生君、ユズがローション苦いって言うからさ生クリームとかいろいろ試そうと揃えたのよ」  「はい?」    「他にもねネットで探して目新しいのも買ったけど、最近お呼びがかからなくて買ったはいいものの宝の持ち腐れ」  生クリームですか?パフェやケーキ以外では見たことありません。あ、原宿で食べたクレープにも入ってような気がします。そう言えば料理にも使えるそうですね。  多分、そう言う意味ではないでしょうけれど。  「オミさん、あの、何の話だかよくつかめてないのですが」  「メープル味のラブシロップ買ったんだよ。いわゆる食べらるローションってやつを使ってみようと思ってたけれどね。甘くて可愛い将生にぴったりだと思わない?ね?だから、これから少し試しに俺の家に行こうかってお誘いだよ」  少し試しにって何を試すのでしょう。まあ、想像はつきますけれど。最近成長しましたし。  「兄貴、頼むからもう一人で帰れよ」  「ユズうるさい、俺は将生と話しているの。ねえ、使ってみたいよね?」  だんだん事態が飲み込めてきましたが、香月さんと同じ方向性の恋愛なんですね。  「あの……僕は男ですよ?」  一応、確認はしておきましょう。そこは大切ですから。あれ?そういえば僕の恋愛対象は男性で間違い無いのでしょうか?どちらでした?あれ?間違っていませんか?  「え、女性だったら誘うわけないじゃん」  やはりそうですか、まあ今も服着てませんし勘違えるはずはないですよね。
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