第十三作(調味料)

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第五話 <黒みつ>  カメラのシャッター音が静かなスタジオに響きます。なぜか心地よいです、レンズ越しに見つめられるのが最近では快感なのです。  「将生、可愛い」  あれ?今のはオミさんの声ですよね? 声は本当に同じなのですね、声帯のつくりが同じなのでしょう。ということは、身体の他の部分の造りも同じなのでしょうか。  ベッドに腰掛けていたら、だんだんと眠たくなってきました。今日はすごく疲れました。このまま眠ってしまえば気持ちよさそう。瞼がだんだん重たくなってきて、今にもくっつきそうです。  「ま……さき……」  遠くで誰かに呼ばれたような気もします。ほんの少しだけ仮眠させて下さい。一瞬でいいので、ゆっくりしたいです。  ふと気が付いたら何故か気持ちいい……ですね。  「んっ、あぁん」  ぬるぬると手が身体を……!????  シャッター音もしません。照明は仄暗くなっています。肌の上を滑る手が身体の中心に向かって動いていいます。え?手ですか、一体誰の手でしょうか。漂う甘い匂い、何でしょうかこれは?  突然、脇腹をざらりとした感覚が走ってびっくりしました。  「甘いね」     
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