第十三作(調味料)

9/12
1023人が本棚に入れています
本棚に追加
/198ページ
 確かに昨日、全身にくまなくかけられました。あれは試作品だったのですね。人体実験でしょうか、試作品そんなにかけては駄目ですよ。  それより僕は、何をかけられているのでしょう。オリーブオイルの上から黒みつですね。もう上手にお料理できましたというレベルです。  「兄貴、そろそろ遠慮してくれる?これからは俺と将生だけの甘い時間だから」  香月さんがぐいと引っ張ると、つるんと滑ってベッドの上にぽふんと落ちてしまいました。  「んんっ、将生ぬるぬるしてる。それもなんだか良いね」  それかけたの香月さんですが。脇腹を指先で撫でられ背筋がぞくそくとします。  「香月さん……」  「将生、今は俺だけを見てくれる?」  上から乗りかかるようにして押さえられました。視界には香月さん以外何も見えません。  「俺は?ユズ、貸してくれるって言ったよね?」  「やっぱり駄目。さっきの話は無しにさせてもらうね。代わりに俺のストックは全部あげるよ、連絡先を後で渡すから。やっぱり将生だけは駄目だな」  きゅんってしました、男の子ですが。いやきゅんとしました。手を伸ばして身体をぴったりあわせると、ぬるっと滑って……ああ、気持ちいいです。  黒みつを舌先で舐めあげられて「ん……あぁあ……つ」とおかしな声が出てしまいました。  これ癖になったらどうしましょう?
/198ページ

最初のコメントを投稿しよう!