第十四作(衣服)

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 え?シンクの上ですか? 扉には届きますが。お醤油はなぜあんなに高いところに置いてあるのでしょう。  軽く飛び上がって、手でつかもうとした時……  「わっ!」  「将生?どうした?」  慌ててオミさんが飛び出してきました。俺は頭からお醤油をかぶってしまいました。床もびちゃびちゃです。味付けしていただかなくても、もう今日は十分なのに。  「こ、これ……ごめんなさい」  「床なんてどうでも良いからとりあえず、シャワー!場所わかるでしょう」  キッチンペーパーで頭からぽたぽた落ちるお醤油をふき取るとバスルームに追い立てられました。  「ロンT位しかないな……着替え、それでいい?隣に帰れば何かあるでしょう?」  ロンTてすか?それは丈が長いTシャツですか?とりあえずそれを貸していただければ、香月さんのところに帰れるでしょうか?昨日着ていた服はありますから何とかなるはずです。  シャワーから出ると綺麗な色の僕の服は見事なお醤油色になってしまっていました。  「はい、これ」  白いロンTですね、下着もないけど何とかなるでしょうか?下まで長くて隠れるのでしょうか。丈は長い……はず?え、あれ、み、短いですっ!  「これ、丈が短いです。オミさん、これはロングではないですよ」  「将生、ロンTって袖が長いんだよね」     
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