第十四作(衣服)

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 え?その代わりに?って何でしょう。  「俺が履かせる、それでどう?じっとしていてね」  え?今、何とおっしゃいましたか?何かがおかしいですよね。その発想。どうしてそこにたどり着くのか理解できません。  インターフォンの音がします。香月さんが帰ってきてくれたのですね。  「だ、大丈夫です。今、香月さん服取りに戻ってくれましたし」  「ああ、ユズ?入って来られないよ。だって、俺鍵かけたから」  ドンドンとドアを叩く音がします。え?鍵をかけたって、どうしてでしょうか?  「ね?着替えのお手伝いで全てチャラってことで良いでしょう」  さらに強くドアを叩く音がしています。  「兄貴、オミっ!開けろ!開けろって、将生を返せ!」  着替えのお手伝いって、僕は幼稚園児でしょうか。昨今の幼稚園児でも自分の下着くらい自分で履き替えられるはずです。と言うことは、それ以下でしょうか。  「いや、本当に自分で。というより、もうこのままでいいですから。スキニー貸してください」  「あ、あのスキニーパンツもそのTシャツも俺のだよね?だから、下着の着替えを手伝わせて。どう?」     
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