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第六話 <浴衣>
まずいです。これは絶対にまずいですよね。満面の笑みで寄ってくるオミさんの横を何とかすり抜けると玄関へと走りました。
僕が鍵を開ければ良いだけのことなのです。
扉の鍵をまわすのとほぼ同時に後ろから手が伸びてきて、ぐいと引っ張られました。扉が開く前にオミさんの手でしっかりと俺の口は塞がれてしまいました。
「何してるの!」
オミさんが手で口を塞いでしまったので、言葉が全て口の中でもごもごとなってしまいました。そんな僕とオミさんを交互に見てきつい口調で香月さんが問いただしました。
「え?ああ、今新しい下着を出してきてあげたところだよね、将生?」
いえ、確かにそこは間違っていませんが。説明が足りていません。
「へえ、俺がいないところで二人で何するつもりだったの?」
「何もしてないし予定もないよね、将生?」
確かに、まだ何もされてはいませんが。ようやくオミさんの手から開放されました。
「ほら、将生。着替えはこれね、どうしてもあの服着せるの嫌だからさ、これを持って来たんだけれど」
香月さんの手の中にあるのは淡い紫色をした格子柄の浴衣です。
「ユズさすがだな、センスなかなかだよ」
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