第十四作(衣服)

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 「そのうちに花火にでも連れて行ってやろうと思って買ってあったからね」  「浴衣かあ、そうか......じゃあ下着は当然!」   「「ふんどし!」」  ええっ、なぜそこで見事にハモるのでしょうか。  「だよな」  「そうだよな」  二人して......僕をなんだと思っているのでしょうか。着せ替え人形か何かでしょうか。  「絶対に褌なんて身に着けませんから!......でも、この浴衣は綺麗ですね」  「将生は顔が優しいから、淡い色が似合うかなと思って。俺のはシンプルな薄墨のかすりの浴衣を買ったんだ。一緒に浴衣デートをしたかったからね」  こんなに大切にされて幸せと、ギュッと浴衣を抱きしめて嬉しさに浸り......あ、はたと自分の格好に気が付きました。僕は今、人様の玄関先でTシャツに下着一枚というとんでもない格好でした。  まずはこの状況から脱することが大切です。  「オミさん、さっきのローライズボクサーやっぱり貸してください」  「え、浴衣着るのにそれはないでしょう。今から俺が着付けてあげるから任せて」  香月さん、何を言い出すのですか。オミさんが目を輝かせていますよ、浴衣も自分で着ますし。オミさんにも着替えを見学はさせません。     
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