第十五作(制服)

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第十五作(制服)

第一話 <学生服>  褌事件で、すっかりしょげてしまった僕をなだめようと香月さんが僕のアパートに送り届けてくれました。お試し同棲を諦めてくれたのでしょうか。服をとっていろいろと処分しておいでと言われたのは聞かなかったことにしましょう。  平穏な日々が戻って来ました。そして翌々日、そうたった二日後の事です。嵐がやってきました。  眠っていたら遠くで音がします。ドアが勢いよく叩かれてますが、いったい何時なのでしょうか。寝ぼけまなこで枕元の携帯を確認しました。朝の六時前です、こんな時間に誰でしょうか。まさか香月さんなのですか!?  慌ててドアを確認もせずに開けると、詰襟の高校生が満面の笑みをたたえて立っていました。  「あの、どちら様ですか?」  「初めまして、僕は高原と言います」  「タカハラさん?何のご用ですか?」  「これは、あなたですよね?」  その手にしっかりと握られていたのは、紛れもなく僕の悲しいデビュー作品です。  「え、なぜそれを?と言うよりなぜここに?」  「やっぱり本当だったのですね!じゃあ入らせてもらっても良いですか?」     
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