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第三話 <軍服>
扉の所に立っていたのは、軍人さん?でしょうか。何故か軍服を着たいかつい顔の男性がいます。
「あの、どういうご用件か聞きたくはないのですが。一応、お伺いいたします」
「もちろんです、お相手を探していらっしゃるとのこと」
予想通りの低い声で、淡々と話し始めまして。これは最後まで聞いても面倒なだけですね。慌ててその人の言葉を遮りました。
「だとしたら、もう充分に事態は込み合っていますので、ご遠慮くださいませんか」
怖いですからおずおずと小さい声で、でもきっぱりと言いました。
そのいかつい顔の軍人さんは、一瞬固まると......。
「えーーー、んもう何よぉもう今日は締切なのぉ?」
ん???あれ、この方はもしや。何故か、急に動きが変です。姿かたちとは似つかわしくない、声のトーンになりました。
「やだあ、私ったら遅かったのかしら。じゃあ、順番待っているから、とっとと済ましてちょうだいね」
とっとと済ますのですか?何を?
「あの、帰ってくださいとお願いしているのですが」
玄関で押し問答をしているのが待ちきれなくなったのか、奥から二人が出てきました。
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