第七作(学園祭)

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第六話 <じゃがバター>  鎖骨のところ舐められて、もう観念しました。下手に抵抗しても痛いだけです、そんなこと十分に承知しています。仕方なく身体から力を抜きました。終わるまでこれは解放されるための儀式だと考えることにします。  何かいつもとは勝手が違いますね、そう思ったらカメラがありません。あれ、これが普通なのかなと可笑しくなり、くすりと笑いました。  何か言われててますが、全くわかりません。  「ごめんね、何言われてるのかわからないのです」  一応伝えておきました、無駄でしょうけれど。どうせならこんな所ではない方が良いです。床は冷たいし、背中は痛いし、シャワーもありません。  ところが盛ってたと思ってたジェフは、抵抗を止めた俺の身体を抱きしめて何故か泣き始めました……どうすれば良いのでしょうか?  携帯を出して香月さんを呼び出しました、僕じゃ話を聞くなんて無理です。かなり端折って説明しました。まさか強姦されそうでした、裸ですとは言えません。  「はい」  携帯を渡して香月さんと話をしてもらいました。しばらく香月さんに電話で訴えていたジェフから携帯電話を渡されました。  『将生、もう大丈夫だから。服をきちんと着てからそこで待ってて、すぐに迎えに行く』  あれ、何故でしょう。服を着ていないことがバレていました。落ち込んだジェフと二人で並んでしばらく待つと、ガチャガチャとドアの開く音がします。  「あれ、もう済んだんだ?早かったね。ちょっと良いとこ見られるかなって思ってたんだけど」  「いい加減にして下さい、全く人を何だと思ってるんですか?」  「あれ?えーっと、将生君?怒っている?……みたいだね。あ、そうだ。たこ焼きにジャガバター付けるから、それで勘弁してね」  ジェフは柾木さんに飛びつくように抱き着くと、なにか喚き始めました。  「面倒だなあ、香月さんと顔が似てるから付き合ってただけなのに」  翔太さん、筋金入りです。周りの空気は絶対に読みません。我が道を行くというやつですね。僕が何言っても無駄ですねこれは。
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