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第八作(夢の国)
第一話 <ジェットコースター>
今日はね何と、何とです。香月さんとお出かけなのです。たまたまかかってきた電話に、今日は二限で終わりですと伝えたら、大学まで迎えに来てくれるというのです。
テンションマックスな僕……の気分を台無しにする人が今こちらへ近づいてきます。
「ねえ、ジェフ放置したでしょう。あの後、本当に大変だったんだからね。三ラウンド付き合わされてもう……無茶苦茶だから。俺もうしばらく使いもんにならないよこっち。それで、将生さあ、俺も溜まっちゃうし、ちょっと身体貸してくれない?」
いえいえ、どの口がそれを?この人の常識はどこで培われたものなのでしょうか。
「何を言ってるんですか?そもそも痴話喧嘩に巻き込まれたのは僕ですよね?迷惑してますから」
「痴話喧嘩?ジェフのことだよね。別れないって言われて困っているんだよね。顔は好みなんだけれど、それだけじゃ無理でしょ。セックスの時の声でかいし、テクないし」
え!?それを大学のこんな人の多いところで堂々と言うのですか?
この人って友だち本当はいないような気がします。お前は……あ、無意識です。「お前」呼ばわりしてしまいました。誰に対しても普段は決してしないのに、どうしたのでしょう。
「ね、どこでヤろうか?」
同意した覚えはございません。さて、帰りましょう。
「僕はこれから遊園地へ行くので帰ります」
「え、遊園地?俺はジェットコースター大好きなんだよね、一緒に行く?三限終わるまで待っててよ。え、もう帰っちゃうの?じゃあ今度は一緒に行こうね」
いえいえ、決してあなたとは出かけることはありません。
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