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第二話 <ポップコーン>
男二人で遊園地ってどうなのでしょうと思っていたのですが、男性同士で来ることもあるのですね。
二人っきりが多いのかと問われれば、そうでもありませんが。
夢の国に登場する大きな耳のキャラクターの帽子をかぶせられました。あの……これ買っていただいて何なのですが、赤い水玉のリボン付がいています。
香月さん、もしかしなくても、女の子用ではありませんか?
「あれ!あのポップコーン食べたかったんだ。ポップコーンなのにキャラメル味ってすごいよね」
子供みたいにはしゃぐ香月さんに嬉しくなります。
「そういえば、この前のジェフは何を言っていたのですか?」
「別れ話を持ち出されたらしくて。別れたくないと迫ったら、代わりにって将生を差し出されたって。ついやけになって申し訳ないと言われたよ」
ええっ?僕はまたあの人の被害者なのですね?
「あの、征木翔太さんですけど、香月さんと付き合いたいとおっしゃってましたけれど」
とりあえずは伝えておかないといけません。
「……え、何言ってるの?まさか恋人に他の男を斡旋されるとは思わなかったな」
「こっ、恋人ですか?」
「何を驚いて、大きな声出してるの?デートでしょうこれ」
そうだったのですね。恋人なのですね……え?
あの……それはいつからなのでしょう。
「あの、恋人って。僕の事でしょうか?」
おずおずと聞いてみると、破壊力マックスの笑顔で微笑まれました。
「そう、将生が俺の恋人」
恥ずかしいけど嬉しいです。
ん?あれ?嬉しいって?何故でしょう。僕は男性が好きだったのですね、初めて知りました。まあ、エッチな事は好きですけれど……あれ?好きなのかな?
「どうしたの一人で百面相して、可愛いね。んー何か将生を食べたくなってきちゃったな。一回ここ抜けよう、その辺のホテルにちょっとチェックインすればいい」
ひ、昼間ですよ。夢の国から違う意味での別の夢の国へ行ってしまいますよ。良いんでしょうか?僕の人生、こんなので。
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