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ギギィと言う音を立てて錆びた扉が開く。扉を開けると食卓に母さんと爺ちゃんと婆ちゃんが座っていた。
「ただいま~。母ちゃん聞いてよ。また友達にうちの店営業してないって言われた。俺悔しいよ。だから何とかしてよ。」
本当は客なんて来てないとは言えず、言い訳ばかりしているのもそろそろ限界が来ていた。
「純哉、ここへ来て座りなさい。実は大事な話があるの。」
やっと場の重い空気に気づき席に座る。
「では、これで家族全員揃ったのう。時間が無いな。手短に話そう。」
爺ちゃんが、重々しい感じで口を開く。
「この家はもうだめだ。店に客が来ないせいで純哉の学費やわしのパチンコ代とタバコ代そして食費をまかなうために借金をし過ぎた。そして今日一杯に借金を返せないとあらかた持って行かれる。純哉には黙っていたが、それも楽しく学校生活を最後まで送ってほしいと言う思いがあればこそじゃ。本当にすまない。」
俺が婆ちゃんと母ちゃんの顔を見ると悲しそうに下を向いていた。
その様子からは、今まで知っていたが黙っていてくれたと言う感じがした。
「だが、純哉お前は…」ガタッ。突然母ちゃんが立ち上がった。
「その話は親の私から言わせて。」
「良かろう。お前の息子だ。お前の口から聞いた方が良いだろう。」
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