4章 ついに起きてしまったか

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「うわっ大変そうだな。まぁそんな事より手料理楽しみだなぁ。」 そんな事を言いながら、街で起きている事には目もくれずにひたすら家に向かう。 すると、兵士が何かを言いながら、走って来る。 「街の東側に盗賊団がいるのを発見。 街に接近している模様。注意されたし。」 ヒトギンチャク騒ぎがまだ治っていないのに、盗賊団までもが現れたようだった。 もう完全に街はパニックに陥っていた。 街の外に逃れようとする人、どうして良いか分からずその場に立ち竦む人。 そんな中純哉は、歩みを止める事無く店へ向かっていた。 その後ろを数人の男たちが尾行していることも知らずに……。 しばらく歩いていると、【ジテンシャのヒロト】と書かれた看板が見えてきた。 看板が見えたので、少し駆け足になる。 店の入り口に、立ったところで頭上から声をかけられた。 「おい、少年無事だったか。少し心配したぞ。」 顔を上げるとチャリンコに乗ったヒロトの姿があった。 「あっお帰りなさい。今から店に戻る所です。」 そう言うと、店のドアを開けようと取っ手に手をかける。 「まぁそんな事よりも、チャリンコに乗りなよ。良いもん見せてやるよ。」 「すいません。お断りします。今忙しいんで……。」 ソルディアの手料理を目前にして、ヒロトの邪魔が入り、少しイライラしてくる。 「それが、雇い主に対する態度か。 いいから、後ろに乗れよ。早くしろよ。」 ヒロトも切れ気味で、言う事を聞かせようとする。 ソルディアの手料理と、雇用主の言葉を天秤にかける。 ほんの僅かだが、ソルディアの手料理の方が上回った。 「ごめんなさい。」 そう言うと、店の扉を開けて店の中に入った。 店の中に入ると、店の中の電気は点いてなかった。 「池ちゃん?帰ったの?遅かったわね。」 そこには、ソルディアの姿があった。 「はっ早いね。俺も全速力で帰ってきたはずなんだけどな。」
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