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「はぁー、仕方ないわね。行くわよ。少し時間を貰うわ。服着替えて来るから。」
そう言うと、ソルディアは料理を中断して二階に上がっていった。
「俺も、行くぜ。何か出産見たくなってきちまったぜ。生命の神秘って奴をな。」
内心は、ソルディアの手料理の事でいっぱいだったが、ソルディアも行くというので、行く事にした。
「おぉ、そうかそれは良いぜ。んじゃ、外で待ってるから2人とも早く来いよな。」
嬉しそうに、言うと外に出て行った。
1人になった後、ソルディアの着替えを覗きに行こう。
見つかっても、様子を見に来ただけと言えばいいという考えが頭をよぎった。
フーーと深呼吸をして、二階へ上がる階段を一歩一歩慎音を立てないように慎重に踏みしめていく。
そっと、二階の廊下を確認すると、ソルディアがいた。
話しかけようと身を乗り出そうとしたが、本能がそれを止めた。
その時、ソルディアは紙切れのような物を下に落としていたのだ。
何か見ては、いけないものを見た気がして、そっと一階に降りて外に出た。
外に出ると、ヒロトがチャリンコに乗って出発する準備を整えていた。
「おっ少年出てきたな。後は、ソルディアだけか。」
そう言っていると、ソルディアは動きやすそうな服装で出てきた。
「もう少し待って。ベルを馬小屋から出してくるわ。」
「おっけー。じゃあ、少年は俺の後ろに乗ろうか。」
言われるがままに、チャリンコに乗せてもらった。
ヒロトのおかげかチャリンコのおかげか分からなかったが、何だか安心感があった。
そうこうしているうちにソルディアが、ベルを連れて出てきた。
「それじゃあ、馬の出産見に行きますか。先に言っておくが、飛ばします。」
そう言うと、ヒロトは足で軽く馬を蹴った。
地面を力強く蹴り、チャリンコは走り出す。
地面を蹴るたびに砂埃が舞い上がっていた。
「しっかりに俺に掴まって、振り落とされないようにしろよ。」
「あっはい。」
そう答えると、がっしりとしたヒロトの身体にしがみついた。
そのチャリンコの後ろをベルが付いてくる。
やがて、門をくぐり抜けて街の外に出た。
街の中も、慌ただしかったが、外もたくさんの人で溢れていた。
「どけどけ、緊急だ。」
ヒロトは、叫びながら人をうまく避けて、スピードを保ちながら、牧場までの最短経路を通っていく。
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