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「うわぁぁぁ、初めて乗った時と比べて格段に速くなってるよ。」
人の群れを抜け草原をしばらく走っていると、たくさんの人の影が見えた。
「何だよ。あいつら何で牧場にあんなに群がってんだよ。これから、出産だってのにあんなに人がいたらストレスかかるじゃねぇかよ。」
ヒロトがブツブツと前で文句を言いながらもスピードを緩めることもなく牧場に向かって行く。
後ろを見ると、ソルディアも黙って付いてきているのが見えた。
「おるぁぁぁ邪魔だ。どけどけ失せろ。」
ヒロトが叫びながら人の群れの中を進んで牧場の中に入ろうとする。
すると、若い男達が叫びだした。
「あっあいつは、チャリンコのヒロトじゃねぇか。待ってたぜ。これでやっとジテンシャが買える。」
その声に釣られるようにジテンシャコールが始まった。
「ジーテンシャ。」
「ジーテンシャ。」
「ジーテンシャ。」
…………
ジテンシャコールは収まる気配が無かった。
「ちょっと、先に降りて牧場に行っててくれ。俺はこいつらを黙らせてから行く。」
言われるがままに馬から降りると、ヒロトはチャリンコに乗ったまま騒ぐ人の群れに突っ込んでいった。
「こんな大切な時期に邪魔しやがって。ジテンシャが欲しいやつは黙って並べ。
そうじゃないなら去れ!
じゃないと痛い目見るぞ。」
このヒロトの荒技により、人々は黙って整列を始めた。
「ったく何があったのかよ。こんなに大勢の人が来るなんて、ただ事じゃねぇな。」
ヒロトが独り言を呟いていると、列から1人の老人が現れた。
「ここいらの村では、国に危険生物の扱いを受けている生物が大量発生しております。皆遠くへ逃げようと、ジテンシャを求めてここへ来たのじゃ。どうかわかってくだされ。」
「ったくそんな事だったのかよ。もっと早く言えよな。あいつらも、生き物だぜ。
愛した分だけ愛が返ってくるからさ。
そんなに慌てる事はないさ。
俺が、友好的な戦い方ってやつを教えてやるよ。」
ヒロトは自信満々に答えると牧場の中に入っていった。
その後を無言でソルディアも続く。
牧場の中に入ると、作業着のような格好をした女や男が働いていた。
馬小屋には多くの馬が入っていた。
「こちらですよ。」
後ろから声がしたので振り向くと、ギルドで会った紫色の髪の男がいた。
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