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人に会えると思って、警戒心を解いて思わず立ち上がってしまった。
すると、土煙の向きが変わりこちらに向かってきた。
近付いて来るにつれて馬の上に男が乗っているのがわかった。
その男の顔はキリッとしていて真っ直ぐな目をしていた。
「うわぁぁぁ」驚いて慌てて草むらの中に身を隠そうとするがもうすでに遅く、騎馬した男はあっという間に目の前に立っていた。
男が馬から降りて来る。
「お前の格好見慣れないな。どこら辺のものだ?」
男に服装を聞かれて、慌てて確認する。
服を見ると、学校から帰ってから着替える暇もなかったので、制服のままだった。
「ファションファションファションアイムオリジナリティーファッション」
思いついた言葉をとりあえず口に出す。
男は何も反応を示さず黙って俺を見ていた。
会話に困ったので馬の方を指差して、
「この馬いい馬ですね。」と言ってみた。
「この馬は、ここら辺だとジテンシャと呼ばれている品種でな、足も速く体力もあって軍馬としても使われてるんだよ。さらにこいつはその中でも特別速くて、俺が名付けたんだけど、チャリンコって名前なんだ。ついでに言うと、俺はチャリンコのヒロトと呼ばれている。」
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