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ジテンシャ……懐かしい言葉を聞き、元居た世界の事を思い出す。
「俺も乗りたいなぁ……また自転車に」元の世界の事を思い出して、ついつい胸の内が言葉に出てしまう。
「そんなにジテンシャに乗りたいのか!よし、俺の自慢のチャリンコに乗せてやる。積もる話もありそうだし、モナリドの街で俺ジテンシャ屋やってからそこで聞いてやるよ。後ろに乗りな。」
そう言って後ろを指差した。
「えっいや……そのジテンシャじゃなくて…」
「うだうだすんなとっとと乗れよ。それともまだなんかあんのか?」
少し切れ気味で、急がされる。
「大切な荷物があるんです。置いていけません。」
意地でも荷物は捨てないという意思を伝えるために直立不動の姿勢を保つ。
「やれやれ、あんたには負けたよ。うちの商売仲間に街まで運んで貰うように頼んでおくよ。」
そう言って腰の袋の中から狼煙の様なものと火種を取り出した。
狼煙は火がつくと黒色の煙を上げていた。
煙を見上げてぼーっとしていると、突然腕を掴まれて、馬上に引きづり上げられた。
「これで君の荷物は、もう大丈夫だ。さっさと街に向かうぜ。」
「あっあっありがとう。」
緊張しているせいなのか上手く話す事ができなかった。
「しっかり俺に捕まれよ。」
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