一章 な、何でこんなことに!

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一章 な、何でこんなことに!

高2の冬、働くまでは変わらないと思っていた日常がある日突然無くなった。 その日もいつものように、友達と会話をしながら自転車に乗って帰っていた。 「そう言えばさ池ちゃん家の散髪屋営業しとん?」 唐突に、親友の俊太が話を振ってきた。 何だこいつ急に変な事聞いてんじゃねーよと思いながらも、作り笑いをしながら、 「うちの家はまぁお得意様だけみたいな感じにしてるから。」 と言い訳かどうかもよくわからない返答をする。 俊太は、疑い深そうな顔でこっちを見てくる。俺は相変わらずの作り笑いで対応していた。 すると、池田理髪店と書いた看板が見えてきた。 自分の家が池田理髪店なので、理髪店の前で止まった。 店を見ると、入り口のポールも止まり店内は電気こそ付いていたものの、客が座るはずの散髪椅子の上には大量の新聞紙や黄ばんだタオルが放置されていた。 その様子を友達の俊太も見る。 「やっぱり池ちゃん家営業してないやん。」 「あ、うん。いや今日だけ今日だけ。」 この会話が俊太と最後に交わした言葉となった。 俊太の後ろ姿を見送り、自転車を止めていつものように家の扉に手をかけた。     
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