パンデミック

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リアンとメアが1階まで降りきったところで、店内からの非常口ドアが勢いよく開いてリアンが振り向いて木刀を振り上げる。 「ワオワオ!待ってくれっ!」 レゼルが狼狽ながら待ったをかけ、リアンが見つめる。 「リアン」 レゼルが密かに好意を抱いている高嶺の花のリアンとの鉢合わせにドギマギする。 「リアンーー」 「グゥアアアア!」 感染してランナーとなったハニルが非常口ドアから飛び込んできて、振り向いたレゼルに猛アタックして押し倒して、激しい殴打から身を護るレゼル。 「クソッ!やめろーー」 リアンが木刀をハニルの後頭部に思い切り振り下ろし、レゼルが頭が割れて死んだハニルを押し退けて急いで立ち上がって狼狽えながら言う。 「一体何がどうなってるんだッ!?何が起きてるんだ!?何でみんなイカれ出した!?」 「ソーリー」 「えっ?」 レゼルがリアンを振り向く。 「ガールフレンド殺っちゃって」 リアンが詫び、メアが思わずクスッと笑う。 「あぁ・・ 助かったよ。ありがとう。 まぁ もともと好きじゃないし、意気合わなかったから・・・」 レゼルがハニルを見下ろしながら言い、暫し沈黙が流れる。 メアがリアンに今告るのよと口パクで指示し、リアンが今は無いでしょという顔をして応える。 「行こう!外は平気かもしれない!」 レゼルが希望を抱いて言い、裏口から外の駐車場に3人は出た。 「ジーザス・・・」 外でも感染者たちが唸り叫びながら人間を襲い殺しまくっていた。 「何だあれは・・」 レゼルがひときわ巨大な感染者(デストロイヤー)の大暴れを見ながら絶句し、リアンとメアも溢れ返ってる化け物たちに激しく脅える。 「一体何だってんだよ・・一体何が起きたってんだ・・」 レゼルが惨状に狼狽え続け、リアンが言う。 「ママとミラが心配だわ」 リアンがメアを振り向き言う。 「メア 一端家(うち)に行こ」 「・・・うん」 メアが感染者たちから目を戻して頷き、レゼルも言う。 「ここから脱出しよう」 レゼルが率先し、3人は姿勢を低くして足早に駐車場を移動して行く。 「とんでもない状況だっ・・」 感染者たちが大勢彷徨いている中をレゼルが先頭を行きながら囁く。 「ほんとにどうなってるんだ これは夢か現実ーー」 「うわああああーー」 車の逆側で男性がランナーの大型強化版の《デモリッシャー》に襲われて骨まで砕く強打で殴殺されて、目を見開いたままビクついて固まる3人。 デモリッシャーが唸りながらドスドスと移動して行き、凄く怯えながらも3人はステルスで進み出す。 そして・・ 「じゃあ 気をつけて おれ車こっちだから」 「あなたも気をつけてね」 リアンがレゼルに応え、レゼルはマイカーの方に行く。 リアンはメアを連れてマイバイクの方へと姿勢を低く向かい、 「止まって!」 体長約2メートル半の幹のように太くて硬そうななりの《ラッシャー》がドスドスと目の前を横切って行き、やり過ごしてから2人は進み出す。 側の車の上に《リッパー》が跳び乗り、リアンとメアが瞬時に身を屈めて、息を殺す。 変形した異様に長く鋭い爪をもつリッパーが走り逃げる女性を捉えて、激しく唸って高々と跳躍しながら移動して行く。 またやり過ごしたリアンが身を上げて、先に見えるバイクへ行こうとした時ーー 「グゥアアッ!」 ランナーに見つかって、リアンがメアに言う。 「走って!」 リアンが停めてある500ccの族車仕様のマイカスタムビッグスクーターまで辿り着き、後ろにメアが乗る。 「グゥアアアアー!」 唸り叫びながら全力疾走してくるランナーをメアが振り向いて叫ぶ。 「来たッ!出してリアン!」 リアンがエンジンをかけて急発進させて行き、ランナーが振った腕がメアの背中を掠めた。 リアンは駐車場出口へと飛ばして行き、感染者たちがバイクを追い駆けて行く。
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