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 はじめて自分から小峰の携帯にメールを送った。『仕事が終わったあと会えますか?』という短いメールに対して返ってきた返事は『俺の家でいいなら、いいよ』という内容だった。  酔った状態ではなく、自らの意思で小峰の家に行くことにひどく緊張したけれど、もう迷いはなかった。  先に帰った小峰を追うように、結城は小峰の家へ向かった。 「いらっしゃい、結城。おつかれ様」 「おつかれ様です。あの、お邪魔します」  出迎えてくれた小峰に頭を下げて中に入る。すると、なぜかいい香りが部屋の中に満ちていた。不思議に思いながらリビングに行き、香りの正体に目を見開いた。 「小峰さん、これ……」 「うん。先に帰って悪かったね。でも、せっかくだからお祝いしたかったんだ」  テーブルの上にはサラダとパスタ、こんがり焼けたフランスパンが用意されていた。 「急だったから簡単なものしか用意できなかったけどね」 「簡単なものって、これ、俺のために用意してくれたんですか?」 「もちろん。時間があればもうちょっと手の込んだものも作りたかったんだけどね。あとワインもあるよ」  テーブルを見たまま硬直する結城を尻目に小峰は冷蔵庫からワインボトルを取り出した。     
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