0人が本棚に入れています
本棚に追加
/36ページ
この時間になるとこの辺りの車通りはほとんどなくなる。僕と晴明は二人で並んで車道の真ん中を自転車で走っていた。すると晴明が突然、
「結多、俺が小学六年生まで食べられなかったものはなーんだ!」
と言ってきた。
「小六?知ってるわけないじゃん」
「正解はほうれん草!」
「ふ、ふーん……」
どう反応すればいいんだろう……。
「男の絆ってのはさ、間にラーメンがあればそれで充分、固くなるもんなんだよ。お互い知らないことがいっぱいあってもさ。それって音楽にも同じこと言えんじゃない?」
「同じ……かなあ?」
そもそもラーメンが絆を深める理屈もいまいち納得できていないんだけど。
「同じなんだよ!そういうことにしとけ!」
そう言って晴明は僕の背中を叩いた。
「うわっ、危ないなあ」
「ははは」
そんな感じで僕たちは家まで帰った。晴明の中でラーメンがどんな存在なのか、気になった。
最初のコメントを投稿しよう!