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そんな感じで一週間ほど過ぎたある日、珍しく晴明が来ない日があった。最近はドアが開くと決まってまず晴明が入ってきたから、小春がドアを開けて入ってきた時少し懐かしさを感じた。そもそも前だって僕が後から音楽室に入るのが普通だったから、小春が僕の後に入ってくること自体新鮮なはずなのに、なぜか懐かしいと感じてしまった。 「今日は晴明来ないんだ?」 僕は鞄を置く小春にそう聞いた。 「うん、なんか大事な用事があるんだって」 僕は今の自分の発言に棘がなかったか気になってしまった。最近毎日晴明と来る小春に対して嫌味を言ったように聞こえなかっただろうかと。見たところ小春は何も気にしていないようだけれど、何気ない自分の一言に敏感になっている自分に驚いた。 「私と二人じゃ嫌?」 と小春はいつもの調子でからかってくる。僕は強気な態度を示したかったけれど、結局小春にこうしてからかわれると、動揺してしまって、 「え、いや、全然、そんなことない」 と変に焦ってしまうのだった。そんな僕を見て満足したのか小春は、 「ふふっ、嬉しいよ」 と言いながらピアノに座った。僕はというと何だか少し嫌な気持ちがしていた。小春の態度に対してでもあるけれど、同時に僕自身に対してでもある気がした。
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