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僕の予想は半分当たっていた。晴明の交際宣言。しかしその相手が小春ではなく、今の今まで名前すら会話に出てこなかった謎の女子生徒だと誰が予想できただろう。そんな風に考えているうちに僕は気付いた。 「もしかして昨日の大事な用事って」 「まあ、そういうことだな」 「ふふ。結多、動揺しすぎ」 僕は相当驚いていたのだろう。小春はそんな僕を見て笑っていた。とそこで初めて謎の女子生徒が口を開いた。 「あ、君が結多君なんだぁ。ハル君がよく話してたよ、凄いラッパが上手いってぇ」 彼女の話し方はその派手な見た目とは裏腹にゆっくりと落ち着いたものだった。 「天野結多です、よろしく……」 「河野美紀でーす」 「俺と美紀は一年の時に同じクラスでさ、クラス変わってもよく一緒にいたんだ」 そこで僕は自分が少し恥ずかしくなった。僕はてっきり晴明は小春とばかり一緒にいるものだと決め付けていたからだ。結局僕は一部しか見ていないものを、まるで全部かのように錯覚して、勝手にイライラしていただけだった。
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