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僕と小春は二人、夕焼けで赤く染められた廊下を歩いている。恋人が出来て以来晴明は放課後もめっきり顔を出さなくなった。あんなに悶々としていた自分が馬鹿らしくなるほどの現金っぷりである。しかし、おかげでこうしてまた毎日小春と二人で放課後を過ごす日々が戻ってきた。
「まさか美紀ちゃんと晴明がくっつくとは思わなかったなあ」
運動部の掛け声が遠くから聞こえてくる中、彼女は言った。僕は小春の率直な気持ちが知りたくて少し意地悪な質問をしてしまった。
「小春的にはあの子はどう?」
「うーん。いい子だとは思うんだけど、晴明があんな感じでしょ?だから心配な子が一人増えたって感じかな」
「僕と同じこと考えてたんだね」
「え、そうなの?やっぱりそう思うよね?」
「うん」
僕たちは二人で笑った。
「まあ、わたしからしてみれば結多も充分心配な子だけどねー?」
そう言って小春は僕のことを覗き込んだ。
「え、なんで」
「いろいろと」
なんで、と言ったけれど僕も小春の言っていることがよく分かった。ここ数ヶ月の僕はなんだかおかしかった。
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