アジタートで叫んで

二

運動部の掛け声と、吹奏楽部のチューニングの音が鳴り響いている廊下を歩いて第二音楽室へ向かう。第一音楽室は主に授業で使われる広い部屋で当然そこは絶対的権力者である吹奏楽部が占拠しているので使えない。しかし第二音楽室も第一に比べると狭いけどグランドピアノも完備してるし、そもそも僕たち二人しか使わないから窮屈には感じなくて、むしろ丁度いい。

小春の担任はホームルームを早く終わらすことで有名な先生で、だからいつも彼女は僕より早く音楽室に来ては適当に何かを弾いている。それで、少し遅れて僕が入ってきてもそのまま演奏は止めずに続けて、僕も準備が終わると自然にその演奏に参加するのがいつもの流れで、それがウォーミングアップ代わりになっている。

今日も音楽室からピアノの音が流れていたから小春が一人で何か弾いているのかと思ってドアを開けたら小春の他にもう一人、晴明がいた。