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「晴明、来てたんだ」 「おぉ!来たな天才トランペット奏者!」 と言って晴明はトランペットを吹く真似をして、口をすぼめて「ぷっすぅー」みたいな感じの音を出したんだけどその顔があまりに梅干しに似ていたから笑ってしまった。 晴明は小春の幼馴染でたまにこうして僕たちの演奏を見に来る。そして晴明が見に来た日には僕と晴明は必ず学校近くの中華屋でラーメンを食べて帰ることになっている。というのも、晴明は「男の友情はラーメンによって育まれる」という謎のジンクスを持っていて、彼は事あるごとににいろんな人をラーメンに誘っているのだ。 僕が準備をしながら 「今日も行く?この後」と聞くと、 「あったりまえだろお前」 と彼が言ったので僕は母親に「今日は夕飯ラーメン行く」とメールした。気が付くとさっきまで弾いていた小春も演奏を止めて僕たちの会話を聞いていたから、 「行く?」 と僕が聞くと、 「えぇーあそこ汚いから好きじゃない」 と言って顔をしかめて舌を出した。 それを聞いた晴明が、 「そんなこと言って、お前がこないだ行きたいって言って一緒に行ったところも汚かったじゃんよ」 と言った。 「あそこは良いの。今話題ですっごい人気なんだから」 「何その理屈ー。人気だったら良いのかよ」 「人気は正義なの」 と二人でしばらく話していた。
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