アジタートで叫んで

二

自分でもよく分からない、不思議な感覚なんだけど、こういう時の晴明は何だか不誠実な人に見えてしまって少し嫌いになる。でも実際晴明の純粋さは知ってるし、また三人で話し始めると今感じてるような感覚はなくなる。だからきっとこれは僕の方の問題でそう思ってしまう自分に何か原因があるんだと思う。

話し終わると小春はまた自由にピアノを弾きだしたから僕も流れでそれに参加した。僕たちの演奏が始まると晴明はいつも黙って真剣に聴く。だからやっぱり晴明は不誠実なんかじゃなくてむしろ真面目で良い奴で、彼を一瞬でも嫌いになってしまうことの理由はいつも分からないままだった。