【完】短編  知らなかった方がよかったのかな

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 そんな調子で一年が過ぎ、始業式、着任式が始まった。すると、まさかの部活の顧問が変わったのだ。名前は寺山先生で優しい先生だった。大学生までびっちり野球をやっていて、今も社会人野球で活躍しているみたいだった。そんな顧問の教え方は上手く、中体連の初戦で落ちていたチームが今年は第二ステージまで行けた。そしてあっという間に最後の秋となった。これまでキャッチャーをやっていた先輩が抜けてしまい、自分がやることになった。嫌だったんだ。キャッチャーをやるのが。その理由は小六の冬の時に、ピッチャーから言われた一言だった。  「お前の配球(ボールを投げ分け、アウトを取るときに考えること。)が悪いからってベンチで総監からサインが出されてたんだよ」って。総監は自分が努力していることをしってくれていたから、良くしてくれていた。正直、本当なのかわからなかった。どっちにしても悲しかった。だからこそやりたくなかった。でも、自分以外のやつはキャッチャーをほぼやったことのない奴らで自分がキャッチャーをやらざる終えなかった。当然あの時に言ってきたやつもいて、しかもエースだ。自信が全くなくて嫌だった。案の定やってみても、何にもうまくいかなかった。でも、ピッチャー陣はどんどんレベルが上がっていった。だから、負けじと頑張った。すると先に打撃で結果が出た。楽しくなってきたんだ。そしたら次はキャッチャーも上手くなっていった。先生にも褒められうれしかった。そうした中で、一つの練習試合があった。相手は結構強く白熱した試合になった。そして五回裏(七回まで)の守備が終わった時に肩が痛かった。でも試合の状況的にも、それを顧問に言う勇気がなかった。痛みを我慢しランナーの盗塁を阻止した。試合には勝ったものの、肩の痛みは悪化していた。だから肩を冷やした。   
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