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一度、泥酔したときに、クロが珍しく昔の話をした。母親に愛されなかったこと。自分のせいで母親が自殺してしまったこと。男と寝るようになったのはただの興味本位だったこと。
好奇心でふらりふらりと適当に生きているような、そんな男がクロだった。
クロが最初に撮ったのは、死化粧を施して花に囲まれた母親の死に顔だったのだそうだ。ピンボケがひどくてくそみたいな写真だったと、クロは軽薄に笑った。煙草を咥えたその口元が妙に色っぽく見えて、その煙を奪うように、俺はクロにキスをした。
不幸な過去を慰めるとか、同情するとか、そういうことは考えなかった。ただ本能のまま、キスがしたくなってキスをした。唇を離せば、「ろくでなし」とクロが笑う。そりゃドウモと口の端を持ち上げたら、クロは腹を抱えて笑い出した。暫くその様を眺めて、落ち着いた頃を見計らってまたキスをした。今度は少し深く、舌を絡めて確かめるように。
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