エンドロールに口づけを

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 汗だくの身体をそのままシーツに沈めて、行儀悪くベッドの上で煙草を吹かす。心地良い疲労感に身を浸していれば、隣でもぞりとクロが寝返りを打ってこちらを見た。 「なぁ、美濃部」 「おぅ」  ゆらゆらと、立ち昇る紫煙をクロの瞳が追っている。猫かよとツッコミを入れるのを心の中だけにして、その様子に淡く笑みを噛みながら言葉の先を待った。 「汗と血液って同じなんだって知ってた?」 「あ? ……あー、なんか、聞いたことあんな」  それがどうしたと、変わらぬ調子でクロを眺めようとすれば、視界の中のクロがゆらりと口を開く。さっきまで汗だくになってセックスしていただなんて嘘みたいに、俺たちは二人とも、笑い出しそうになるくらい平然としている。 「要するにさ、セックスって血まみれになりながらやってんだよな」  いつものやる気なさげな表情で、クロが言う。眉を持ち上げて一瞥したあと、まぁ確かにと頷きかけて、さっきのクロの仕草を思い出した。汗を拭う指先に、クロは、そんなことを考えていたのかと。
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