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ストレッチをしてシャワーを浴び、食事を摂ってまたマンションを出る。
地下鉄に乗ってシートに座り、タブレットで海外のボクシング動画を見ながら一流選手のスキルやコンビネーションを頭に叩き込んでいると、視線を感じた。
さりげなく目を上げると、斜め向かいに座っている4人の女の子たちが俺を見ていた。
「ねぇ、話しかけようよ……」
「ええ、でも、恥ずかしい……それに、なんだか近寄り難いし……」
「そうだね、やっぱり声かけにくいよ……彼と同じ講義取ってる子たちも話しかけられないって言ってた」
「うん、無理だよ。だって、カッコ良すぎて近づくのも恐れ多いもん……見てるだけでいいよ」
「あのレベルになるともう現実感ないよね。目の保養だけしよっか……」
ぼそぼそ喋っているが筒抜けだ。
会話からして同じ大学の学生らしい。
あの手の反応には慣れている。
母さん似の俺は幼いころから紅顔の美少年と言われ続けてきた。
だが過ぎたるは及ばざるがごとしで、あまり恩恵を受けたことはない。
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