二度目の大晦日

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付き合うのが面倒になったので、もういいやとパソコンを閉じてこたつを壁際に移動させ、客用の布団を持ってきて敷いてやった。 するとその隣に、智典が機敏な動きで俺の布団を敷き並べた。 「元気じゃないか、帰れ」 そう言うと、途端にゴホゴホ咳込んで客用布団にもぐりこむ。 まったくこいつは……。 呆れるが、やはりトレーナーとして選手の体調は心配だ。 「おい智典、寝る前に風邪薬飲め」 常備薬と水を差しだすと、智典はフルフルと首を振った。 「身体の力が衰えるから薬は飲まない主義なんです」 「なんだその主義。……まぁいい、じゃあちょっと待ってろ」 台所へ行き、冷蔵庫からショウガを取り出してすりおろした。その絞り汁を湯呑に入れて、ポットのお湯を注ぎ、はちみつを少量入れてかき混ぜる。 できあがったものを持っていくと、智典はきょとんとした。 「なんですかこれ」
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