二度目の大晦日

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「ショウガ湯。身体あったまるから飲め。辛みを抑えるためにはちみつ入れたから、飲んだ後はちゃんと歯磨きしろよ」 「いただきます。……熱っ。貫一さん、ふーふーしてください」 「自分でやれよ」 「貫一さんにやってもらったほうが体温が上がるので」 「なんだそれ」 またごねられるのも面倒なので、言われるままフーフーと息を吹きかけて返すと、智典はにこにこしながらショウガ湯を飲んだ。 こんなでかい図体なのに小さな子供みたいだ。 屈託のない笑顔に気がゆるんで、ついその頭に手が伸びた。 こいつの髪、やわらかくて気持ちいいな。 手ざわりを楽しんでいると、智典がもぞもぞしだした。 「……歯磨きしてきます」 なぜか前屈みで居間から出て行く。 ん?  洗面所ではなくトイレから流水音が聞こえた。 ああ、用を足したかったのか。
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