二度目の大晦日

11/15
前へ
/159ページ
次へ
しばらくして歯を磨いて戻ってきた智典が、顔を伏せがちに布団に入った。 時計を見ると、もう深夜1時になっている。 いつの間にか年を越していた。 俺もそろそろ寝よ。 欠伸をして、照明をオレンジの常夜灯に切り換える。布団に横たわると、すぐに睡魔がやってきた。 そのまま意識を手放そうとしたとき、上掛け布団がめくり上げられ、何かがするりと布団に入ってきた。それが何かは考えるまでもない。 「んー……おい、智典、なんだよ……」 「気にしないで寝ててください」 「……いや、気にするわ。ふざけてないで自分の布団戻れよ」 「貫一さん……」 ぎゅっと横から抱きしめられた。 密着した身体の硬い感触と体温に、ゾワゾワッとした感覚が肌を駆け、睡魔がいっきに吹っ飛んだ。 「おいこら何やってんだ! 離せよ! いたずらにも程があるぞ!」 「いたずらじゃありません。あなたに触れたいんです」 「俺は触れられたくないっ!」
/159ページ

最初のコメントを投稿しよう!

152人が本棚に入れています
本棚に追加