152人が本棚に入れています
本棚に追加
しばらくして歯を磨いて戻ってきた智典が、顔を伏せがちに布団に入った。
時計を見ると、もう深夜1時になっている。
いつの間にか年を越していた。
俺もそろそろ寝よ。
欠伸をして、照明をオレンジの常夜灯に切り換える。布団に横たわると、すぐに睡魔がやってきた。
そのまま意識を手放そうとしたとき、上掛け布団がめくり上げられ、何かがするりと布団に入ってきた。それが何かは考えるまでもない。
「んー……おい、智典、なんだよ……」
「気にしないで寝ててください」
「……いや、気にするわ。ふざけてないで自分の布団戻れよ」
「貫一さん……」
ぎゅっと横から抱きしめられた。
密着した身体の硬い感触と体温に、ゾワゾワッとした感覚が肌を駆け、睡魔がいっきに吹っ飛んだ。
「おいこら何やってんだ! 離せよ! いたずらにも程があるぞ!」
「いたずらじゃありません。あなたに触れたいんです」
「俺は触れられたくないっ!」
最初のコメントを投稿しよう!