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――漢の本気は、目を見りゃわかる
まさか、って思っていた。
こんな若いイケメンが、こんなおっさんを好きになるはずがないと、真面目に受け取らないようにしていた。
バカのひとつ覚えみたいに毎日好き好き繰り返されると、ふざけてるようにしか思えなくて、こいつはこういう冗談がデフォルトなのだと流していた。
だけど、もし、もしこいつが本当に本気で俺のことが好きなんだとしたら……それなら、俺がしていることは残酷なことなのかもしれない。
――漢の本気には、本気で応えろ
俺は、応えられない。
本気の想いに返せるだけの愛情を、持てる気がしない。
もちろん智典のことは可愛いと思う。
だけどそれは指導者として選手に対する愛情だ。恋愛感情じゃない。
だから、もし智典が本気で俺を好きなのだとしたら、突き放したほうがいい。
……いや、やっぱり本気なわけない。
ふざけてるんだ。そうに決まってる。
だってこんなイケメンなら言い寄ってくる女の子はたくさんいるだろう。
なのに何が悲しくてが俺なんかに惚れたりするんだ。有り得ない。
そう思う一方で、もうひとりの自分が淡々と語りかけてくる。
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