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けれど習慣とは恐ろしいもので、解放されても沁みついたトレーニング習慣は抜けなかった。
歯を磨くような感覚でKフィットネス福岡支店に通い続けていたのだが、ボクサーになった今ではそれが功を奏している。
怜悧そうな外見に反して子供みたいに拗ねた口調でぶつぶつ言っている父さんを横目に、カウンターキッチンでコーヒーを淹れる。
この家には通いで来てくれるハウスキーパーさんがいるが、さすがに今日と明日は休みだ。
コーヒーを飲みながら「夕飯は外食にしよう」と店の候補を挙げている父さんに、俺は姿勢を正して、この帰省の目的である本題を切り出す。
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