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「強くはないが酒は好きだな。バイトから帰ってきて寝酒に一杯飲むのが楽しみなんだ」
「そうなんですか」
新たな一面を知って嬉しくなる。
年末の格闘技番組を見ながら、「今年はボクシングないんだよなぁ。総合格闘技よりボクシングがいいのになぁ」 「あ、あの選手、キックボクシングに転向してたのか」などと貫一さんがつぶやき、俺がにこにこと相槌をうつ。
「いつもは一杯でやめとくんだが……今夜は大晦日だし、もうちょっと飲むかな」「俺が酌しますよ」「お、ありがと」こんな他愛ないやりとりも嬉しい。
そうこうするうちに、時計の針も貫一さんの酔いも回っていった。
貫一さんは酔うと明るくなるタイプらしい。
子供みたいにはしゃいだ様子で、試合に出てきたフルコンタクト空手選手のパンチを真似している。
あまりに激しすぎてしまいには汗までかき、着ていたセーターもシャツごと脱いで、タンクトップ姿で「うりゃああ!」と暴れている。
しかしその脚はコタツにつっこんだままだ。
ガッタンゴットンと揺れる天板から一升瓶やつまみやらを非難させ、俺はさすがに注意した。
「貫一さん、暴れるならコタツから出てください」
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