煩悩と決意の大晦日

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「あー……やっぱそうか? これでも昔は痩せてたんだがなぁ。現役引退したら一気に体型が崩れちまって……もともと太りやすい体質ではあったんだが、減量しなくてよくなったから食ったり飲んだりしてたらあっという間に脂肪がついてさ」 え、脂肪? これ脂肪? 「これじゃいけないと思って食事を節制して身体動かすようにしたんだけど、筋肉ついても太くなるだけで皮下脂肪は減らないんだよなぁ」 なるほど、俺の見立てより脂肪の層が厚く、そこに筋肉が合わさった結果、この弾力あるやわらかさが成立したわけか。 「やっぱ歳のせいで燃焼効率が悪くなってるんだろうな。もっと絞りたいんだがなぁ……」 「絞らなくていいです。このままでいてください」 胸の肉にむにむにと顔を埋めながらつぶやく。 大きく開いたタンクトップの首回りから露出している肌の質感はやはり男のものだが、その見事な谷間は俺の顔に心地よくフィットする。 まったくもってけしからん谷間だ。 ここで窒息したら二重の意味で天国へ行ける。
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