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差し出された菓子折りを、貫一さんは恐縮しながら受け取った。そこでジムの中を物珍しげに眺めている美咲さんに気付いて肩をすぼめる。
「……古くて狭くて、お恥ずかしい……」
「いいえ、そんなことありません。床も戸棚のガラスもピカピカに磨かれていて、整理整頓も行き届いている。大事に使われてきた場所なのだとわかります。素敵なジムですね」
母さんも同意して頷いた。
「ええ、そうね。それに、吉田さんも誠実そうで素敵な方」
「いや、そんな……素敵だなんて……」
モジモジする貫一さんに、母さんが軽く頭を下げた。胸元まである茶色い髪が絹のようにさらさらと流れる。
「吉田さん、ふつつかな息子ですが、末長くよろしくお願いします」
「……はい?」
言葉のニュアンスに怪訝な顔をしている貫一さんを見下ろして、俺は、母さんと美咲さんにボクサーになると伝えたときのことを思い返す。
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