栄光をあなたへ ２

自主トレーニング

短期間でメキメキ上達する俺を見て喜んでほしい。
三輪さんに勝利したときの感動した表情をまた見たい。だから頑張る。
自分にできることの２００％、いや、３００％をやらなくては。

ただでさえ俺はボクサーとしてのスタートが出遅れている。選手の中には、それこそ小学生のころからボクシングをしている人もゴロゴロいるのだ。そんな中に１９歳から飛び込んで世界チャンピオンを目指すなら、３００％でも足りないかもしれない。

それなら、４００％を出すまでだ。

もちろん怪我には細心の注意を払っているし身体のケアも十分にしている。
だてにフィットネスジムの社長の息子ではない。幼い頃からジムに入り浸っていたおかげで、Kフィットネスのトレーナー達から効率的なトレーニング方法やマッサージやストレッチの方法を学んでいる。
そのうえで吉田ジムでの練習による疲労を考慮しながら自主トレーニングメニューを組み立てているので、決して無茶なことはしていない。

新鮮な空気を肺いっぱいに取り込んで、濃紺から白へと移り変わる空を眺めながらマンションへ戻った。