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# 夏休み最後の登校日。 高3の教室内の空気は重々しい。 「久し振りー。夏休みはどう?」 「……それ、聞く?」 「受験生 存在するの 夏休み……」 仲良しの(はな)ちゃんは沈んだ空気を断ち切るように元気よく私に声を掛けた。 「久し振りーっ!幸!元気にしてた?」 『成績下降中の受験生は遊んだらダメ』という理由で、休み中、親からLI◯E他一切のSNS類を禁止された私は友人とも殆ど連絡を取っていなかった。 「数学漬けの毎日だけど元気」 苦笑しつつ言うと「私は英語漬けー」と半泣きの声が返ってきた。 高3にとって、この夏休みがキツいのは皆一緒。 登校日が数回あるのも、この大変さを皆で一緒に乗り越える為かもしれない。 私は個別で新先輩に数学を教わっていることを華ちゃんに話した。 「……しん先輩?」 「2コ上のイケメン先輩。覚えてない?」 「嘘?!超絶イケメンな高梁先輩?!美男美女カップルで有名な。どこの大学?」 「H大学」 「さっすがフルスペックイケメン。通ってる大学までソツがない。あの美人さんとはまだ付き合ってるのかなぁ」 「……さぁ。プライベートなことは一切、話さないから」 乾いた笑いに顔が引きつった。 「それもそっか。高梁先輩が高校生の時、幸、接点あった?」 「全然」 即答する。 最近まで接点なんて殆ど無かった。 有名だった先輩を私は知っていても、先輩が私を知る筈も無い。
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