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その後の1週間は、先輩に会いたくなくて、屋上に行くのを俺が避けた。
次の週には、先輩に謝りたくて……。
そんなことを言い訳にしながら、やっぱり会いたくて。
俺は毎日屋上に上がった。
けれど先輩は、居なくて。
電話の番号も知らないから、連絡も出来なくて。
無視されたり、拒絶されるのが怖くて。3年の教室まで行くことも、出来なかった。
3月1日。
3年の先輩達の卒業式。
俺はマヌケにも、最後に先輩が来てくれるんじゃないかと屋上に上がった。
先輩が来てくれることはなかったけれど。
屋上から、帰って行く先輩を見ることが出来た。
「あ……あの人……」
和美さんだ、と先輩の隣に居る女の人を見る。
何やら先輩が言ったことに反応して、卒業証書の入っている黒い筒を振り上げていた。
「先輩…………笑ってら……」
和美さんの卒業証書の筒を腕で受けながら、先輩は笑っていた。
「…あーあ。相変わらずの、バカヅラ」
遠くても、判る。
ふふんッと俺が笑ったと同時、先輩が振り返った。
見えてる筈もないのに、しゃがみ込んで隠れた。
「ふっ……ふふっ…………っ……」
フェンスを掴んで、肩を震わす。
友人達と、和美さんと。
校門の向こうに姿を消す先輩を、陰から見送った。
「……先輩……卒業……おめでとぅ……ス……。ほんと。……おめでと……ッス……。……先、輩………。里見、先輩……………」
俺。
里見先輩のことが、好きでした――。
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