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2月14日。
バレンタイン当日は、朝から学校全体がなんだかそわそわしている。
俺はバレンタインやチョコなんかとは無縁だったから、ワクワクもそわそわも、した事がなかった。
――……今までは。
閉店間際の店でやっと買った、先輩には全然似合わない可愛くラッピングされた小さなチョコをブレザーのポケットに入れて。
その辺の女顔負けなくらい、胸をバクバクさせていた。
「――バカじゃね?」
自分に呟きながら、この指先の熱で中のチョコが溶けちまうんじゃないかと心配した。
1限目、2限目と、刻々と時間は過ぎていく。
次の授業サボッて行こう。
――まぁ、次でもいっか。
と、中々屋上には行けずにいた。
「とか言ってる間に昼休みじゃんーッ!」
「あれぇ? 今日はサボんないのかよ?」
同じクラスの友人達に揶揄うように訊かれながら、「ウッセ!」と廊下に出た。
「どこ行くんだよーッ!」
「昼メシはー?」
叫ぶ友人達に中指を突き立てる。
「パン買ってくる」
上履きを引きずるようにして、購買部に向かって歩き出した。
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