3 男の子と女の子

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 すぐ横で、弾けた水の叫び声。  いつからだろ。窓にいくつも透明な点々が張りついてる。雨が降ってる。  カエルはみんなで合唱してるかな。カタツムリはアジサイの上でお散歩してるかも。  空が灰色に汚れちゃうと、水の声がばらばらに歌う。そしたら生ぬるい匂いが飛んできて、ねっとりした風が撫でてくるから、ざわざわする。  雨なんて嫌い。「外で遊べねーじゃん」って、律がつまんなそうな顔するから。  僕は、じーっと窓に顔を近づけた。  そしたら、お母さんによく似た顔と、目が合った。こっちを見てるその顔は、僕のもの。何回瞬きしてみても、目をこすってみても、そっくりそのまま動くこれは、あたりまえに僕の顔だった。  みんな、最初は絶対僕のこと、女の子と間違える。「女の子みたい」とか「お母さんにそっくり」とか言う。律だって、初めて会った時、僕が男の子だって言ったら驚いてた。  振り向いて、ホウキ持ってるふわふわちゃんの顔を見る。それからまた窓を見る。あのふわふわちゃんより僕の方が“女の子”って顔してる。  それなのに、何で僕は女の子じゃないんだろ。お母さんは女の人なのに、お母さんに似てる僕は、何で男の子なんだろ。変なの。
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