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「こらっ、真白。手、止まってんぞ」
窓の外見てたら、頭をペシッて叩かれた。
振り返ったら、長い人差し指が、僕の持ってたホウキをつんつんつついた。
「律」
「サボんなよなー。めんどくさいのはわかるけど、みんなそう思ってんだから」
「うん。そうだよね。ごめんなさい」
僕は頭下げて謝った。汚れた雑巾持った律に怒られたら、反省しないわけない。
今日は掃除が終わったら帰れるから、もたもたしてたら帰るの遅くなっちゃう。
それに、先生の話聞くのも、走るのも、ご飯食べるのも、遊ぶのも、それに掃除も、律は何でも一生懸命。今も真面目に床とか窓とか拭いてくれてた。
それなのに、そんな時に考え事してぼんやりしちゃうなんて、最低だった。そんなの律も怒るに決まってる。もっと怒っていいはずなのに、「や、謝ることないけどさ」って笑って済ませてくれるなんて、律って本当に優しい。
僕もちゃんと真面目に床はいて、机動かして、ゴミ箱の中身も捨てに行った。
掃除なんてめんどくさいし、教室なんて綺麗にならなくてもいいけど、ちゃんとやらなきゃ律に怒られちゃう。それって律を困らせることだ。もうそんなことしたくない。
「あっ。律君っ!」
教室が元に戻る直前くらいのころ。律のお気に入りのふわふわちゃんが、律のところに駆け寄ってきた。
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